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京都地方裁判所 平成4年(ワ)559号 判決 1992年7月31日

主文

一  本件訴えを却下する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  原告

1  別紙目録記載の各財産は、昭和五〇年三月二六日死亡した谷脇渡の遺産であることを確認する。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

二  被告ら

主文第一、二項と同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  被告らは、訴外亡谷脇生亀(昭和五六年八月三日死亡、以下「生亀」という。)とともに、訴外亡谷脇渡(昭和五〇年三月二六日死亡、以下「渡」という。)の相続人であり、原告及び選定者谷脇兎美子は、生亀の相続人である。

2  別紙目録記載の各財産(以下「本件財産」という。)は、もと渡の財産であったが、被告らは、これを争うため、共同相続人間において、本件財産について遺産分割協議ができない。

3  よって、原告は、本件財産が渡の遺産であることの確認を求める。

二  被告らの請求原因に対する認否及び本案前の主張

1  請求原因に対する認否

請求原因1は認め、同2の事実のうち、本件財産が渡の遺産であることを認め、その余は否認する。

2  本案前の主張

被告らは、渡の遺産の範囲・内容については、原告主張のとおりであることを認めており、被告らは、本件財産が渡の遺産であることを全く争っていないので、本訴は、訴えの利益を欠いており、却下すべきである。

しかも、本訴は、谷脇裕治と谷脇喜多間の京都地方裁判所平成三年(ワ)第一五四六号相続財産確認請求事件の訴訟物と同一である。

第三  証拠(省略)

理由

一  被告らの本案前の主張について

請求原因1及び本件財産が渡の遺産であることは当事者間に争いがない。

したがって、本訴については、訴えの利益を欠くものというべきである。

しかも、成立に争いのない乙第三号証によれば、原告谷脇裕治と被告谷脇喜多間の京都地方裁判所平成三年(ワ)第一五四六号相続財産確認請求事件において、原告谷脇裕治は、本件財産のうち、別紙目録七の土地を除き、家庭用財産一式を加えた財産について、本件訴訟と同じ請求の趣旨の訴えをなしており、本件財産と重複する範囲で、原告谷脇裕治と被告谷脇喜多間では二重起訴に該当する。したがって、右の当事者及び財産の範囲でも、訴えの却下を免れない。

二  よって、原告の訴えは、これを却下することとし、訴訟費用について民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(別紙)

目録

一 借家権

京都市伏見区深草直違橋一〇丁目一一四番地

家屋番号  二番

木造瓦葺平家建店舗

床面積   八二・六四平方メートル

二 商品                    三八万六〇〇〇円

三 有価証券

三菱信託京都支店     貸付信託    四五〇万〇〇〇〇円

住友信託京都支店     貸付信託     九〇万〇〇〇〇円

四 預金

伏見信用金庫稲荷支店   普通預金     四一万七九七七円

同            定期預金    二七〇万〇〇〇〇円

京都銀行稲荷支店     普通預金     一七万〇四五二円

同            定期預金     七〇万〇〇〇〇円

五 現金                    一三万五〇〇〇円

六 電話加入権  電話番号六四一―三二三四

七 土地

京都市伏見区深草西浦町三丁目五七番

宅地    二一五・二五平方メートル

同所五八番

宅地    五四二・二三平方メートル

選定者目録

京都市伏見区向島庚申町五四番地の三七 谷脇兎美子

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